子どもたちに「早く早く」と急かさなくても、スムーズに行動してもらうための素敵な方法をご紹介します。
親として、子どもがなかなか片付けをしない、着替えをしない、食事を進めないといった状況で、つい「早くして!」と言ってしまうこと、皆さんにもあるのではないでしょうか?私自身も、保育士として長年子どもたちと接する中で、同じ悩みを抱えていました。
しかし、よくよく考えてみると、子どもには「早くやる理由」がないことに気付きました。大人は次の予定や時間に追われる理由がありますが、子どもにとってはそういった焦る理由が存在しないのです。だから「早くして!」と言っても、子どもにはその意味が伝わらず、結果的に行動が進まないということがよくあります。
時には、焦って「早くやらないと〇〇できないよ」という脅しのような言葉を使ってしまうこともありますが、これも本当は避けたいものですよね。効果があることもありますが、大人も子どもも気持ちがよくないものです。
そこで、今回はそんな状況を改善するための「スモールステップ」という方法をご紹介します。これは、子どもが達成しやすい小さな目標を設定し、それをクリアしていくことでモチベーションを維持しながら行動を促す方法です。
スモールステップの実践方法
例えば、子どもがご飯をなかなか進めないとき、「早く食べないと〇〇できないよ」と言う代わりに、以下のように小さなステップを設けてみてください。
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少量を別のお皿に盛る
ご飯をほんの少しだけ、例えばお米2粒分や、唐揚げの小さな一片など、子どもが簡単に食べられる量を別のお皿に盛ります。 -
「これなら食べられる?」と聞く
すると、子どもは「こんなの食べられるよ!」と自信を持って食べます。食べ終わったら、「じゃあ次はもう少し増やしてみる?」と聞きます。 -
徐々に量を増やす
少しずつ、例えば指先に乗る程度の量から、指2本分、そして最終的に通常の食事量に近づけていくのです。
これを繰り返すことで、子どもは「できた!」という達成感を積み重ね、やる気が継続します。大きな目標を一気に達成させるのではなく、小さな目標をクリアすることで自然と行動が進んでいくのです。
他の場面でも応用可能
このスモールステップの考え方は、食事だけでなく、着替えや片付け、さらにはお出かけの準備など、さまざまな場面で使えます。
例えば、着替えの場合、いきなり「全部着替えて」と言うのではなく、まずは「靴下だけ履ける?」と小さなステップから始めます。「できたね!」と褒めたら、次は「Tシャツを着ようか」といった具合に、少しずつ進めていきます。これによって、子どもは成功体験を積み重ね、やる気を維持しながら行動できます。
また、朝の出発準備でも同じです。「早く来て!」と言っても、子どもにとっては遠いゴールが見えてしまい、モチベーションが下がってしまいます。そこで、大人が一旦近づいて「ここまで来られるかな?」と短い距離を示してみましょう。そして、少しずつゴールを延ばしていくことで、自然と目的地までたどり着けるようになります。
最後に
スモールステップは、子どもの行動を促すだけでなく、親自身も「早く早く」と焦る気持ちを和らげ、子どもと一緒に達成感を味わえる素晴らしい方法です。ぜひ試してみてください!